お知らせ

Post Covid-19のタイ不動産市場状況

コラム | 2023.07.07 Post Covid-19のタイ不動産市場状況

世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は、タイの不動産業界にも大きな影響を与えました。そんな状況も2022年10月、タイ政府によるCovid-19対策の完全撤廃に関する発表後、徐々に落ち着きを見せました。今回は、Post Covid-19のタイの不動産市場状況を住宅セクターに焦点を置きながら、予測も交えてご案内いたします。

Covid-19後のタイ経済と不動産市場状況

タイは、Covid-19の感染状況緩和を鑑みて2022年10月に入国規制を完全撤廃し、経済活動を正常化することにより、一早く景気回復を図ってきました。2023年1-3月期の実質GDP成長率は、前年比+2.7%と前期10-12月の1.4%から加速していることを、タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)が公表しました。また、タイ財務省は2023年全体のGDP成長率が、3.6%に上ることを予想しています。タイ経済の再開と観光業の回復に伴い、タイの不動産市場も緩やかに回復へと向かっています。

タイ不動産市場において、海外投資家による不動産投資は重要なファクターであり、特に中国人の投資家による不動産投資がコロナ禍に低迷したことが影響しました。ただし、Covid-19後の積極的な外国人旅行客呼び込みにより、タイ中央銀行によると2023年の外国人観光客は、2800万人に上ることが予想され、今後数年以内に外国人投資家の不動産投資がCovid-19以前の水準へと戻ることが期待されています。

Krungsri Researchの情報によると、タイ国内の一軒家、集合住宅、コンドミニアムの新規供給戸数は、Covid-19の影響により2021年に過去最低水準となりましたが、2022年には各規制が緩和されたことにより、上昇を見せています。また図1によると、コンドミニアムの販売数は28,972ユニット(2021年) から51,093ユニット(2022年)に推移しており、今後も加速することが予想されます。

図1(出典:Krungsri research “Indstry Outlook 2022-2024:Housing in BMR)

不動産価格の推移については、タイ中央銀行が発表しているタイ国内の一軒家、集合住宅、コンドミニアム及び土地の価格指数が過去十年間(2011年から2022年)にかけて50%以上上昇をしており、コロナ渦でも横ばいを続けました。さらに、ウクライナ戦争による原油価格の高騰や、世界的なインフレの加速により、建築コスト高が継続する懸念があるため、今後もタイの不動産市場は土地価格の上昇と金利の上昇の影響を受ける可能性が高いです。

今後の不動産開発と傾向

コロナ渦を経て環境に対する意識の変化に伴い、人々が暮らしに対して求める条件にも変化をもたらしました。在宅勤務を中心とした働き方の自由化がニューノーマルとなる中、ライフスタイルに合った住宅・サービスの選択が強い傾向を示すようになりました。コンドミニアムの需要は都心部を中心にあるものの、郊外に位置する低層住宅の需要が年々増加傾向にあり、Covid-19のパンデミックが始まって以来、増加の一途をたどっています。タイの国際的な不動産コンサルティング企業であるCBREの情報によると、低層住宅市場では、2023年第二四半期以降、さらに多くのプロジェクトが立ち上がることが予想されます。

コンドミニアムは、特に海外投資家からの投資拡大により需要が高まっており、政府住宅銀行傘下の不動産情報センター(REIC)によると2023年第一四半期にタイで外国人が3,775ユニットのコンドミニアムを購入、全体で外国人所有移転額は約170億バーツを超え前年同時期比約79%増となり、過去5年で最高となりました。購入したコンドミニアムの平均面積は約45平米メートルで、購入戸数の約半数にあたる1900戸以上が300万バーツ未満のコンドミニアムです。購入戸数が最も多い県は、チョンブリに続きバンコクとなり、チョンブリが初めてバンコクより高い水準となりました。タイ政府のインフラ・交通機関の向上により郊外への関心、及び需要が徐々に高まっていることが伺えます。

その一方で、高級・ハイエンド物件は引き続きバンコク中心部に集中することが予想されます。各開発業者によりバンコク都心部のハイエンド住宅のプロジェクト開始が計画されていますが、詳しい計画内容は2023年後半の発表が予想されています。

今後の住宅セクターのトレンドとして、コンドミニアムの建設だけではなく、周辺の商業施設や機能性の提供、時代に合わせた空間づくりといった、一気通貫した環境そのものの提供が焦点になりそうです。

※記載されている内容は情報提供を目的に作成されたものであり、信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性を保証するものではありません。